デニム生地の素材と特徴、注意点について

  • 2021年8月21日
  • 2023年3月20日
デニム

デニム生地の素材と特徴、注意点について

生地の素材の中で、誰でも知っているデニム。
しかし、掘り下げてみるとデニムとは何なのでしょうか。
ツイルとの違いや染色方法やデニムの様々な事について。

 

デニムとは

生地は経糸と緯糸で形成されており、デニムは経糸にインディゴ染色した糸を、緯糸には晒し糸(白糸)を使用したものを使用します。
先染めのインディゴ染めを行った糸を経糸に配置します。
ウェキペディアなどでも ” 10番手以上の太い糸を経糸に ” と記載がありますが、10番手以下の細番手の糸を使用した場合でもデニムを製造することができます。

デニムについて ※ウェキペディアに移ります。

当店のオンラインストアでも、3.5ozデニムという非常に薄いデニムを扱っているように、今では糸の太さなどを基準にする必要はございません。
しかし、上記でも記載したように、基本的には経糸をインディゴ染色の糸、緯糸を晒しの糸を使用したものがデニムの基本とされています。
また、例外で経糸がインディゴ染色の糸でない場合もあります。
インディゴ染めには染色できる色が限られているので、赤、黒、緑、ピンクなどの色を出すことができません。
よくあるブラックデニムやレッドデニムなどのカラーデニムは硫化染料というインディゴ染料でないもので染色しています。
この硫化染料もインディゴ染料同様で、色落ちの効果があるのでデニムの染料としてよく使用されています。

 

 

デニムとジーンズの違い

デニムとジーンズは明らかに異なる名称となり、デニムは生地(テキスタイル)の事を指し、ジーンズは製品に仕立てた後のパンツの事を指します。
しかし、「今日はデニムの気分だ」などと言い、ジーンズを履いたりする方もいるので混乱してしまう方も多いのではないでしょうか。

 

 

デニム生地の特徴

そんなデニムの特徴はどんなことがあるのだろうか。
染色方法や染料、素材によって様々な特性や特徴があるので、確認しておきましょう。

 

インディゴ染めの糸で綾織で織られている

最大の特徴は、上記でも記載している、インディゴ染めの糸を使用して綾織で織られていることです。
平織で織られているものは一概には言えませんが、基本的にデニムとは呼ばれません。
また、デニムニットという編み組織のものも存在します。

 

丈夫

基本的にデニムは丈夫と言われています。
しっかりと織り上げ、耐久性と強度に優れています。
比較的、摩擦にも耐えることが出来、ラフに扱っても意外と大丈夫な素材と言えます。

デニムには様々な糸番手とオンスがあるので、全てのデニムが丈夫というわけでないことも注意が必要です。
また、ライトオンスデニムとヘビーオンスデニムなど、用途によって使い分けることで楽しみましょう。

 

色落ちを楽しむ事ができる

これは、デニムの最大のメリットと言えることでしょう。
生地には堅牢度と言われる、色落ちに対しての検査がありますがデニムはインディゴ染めで色落ちが必須となりますので、堅牢度はよくありません。
よく曲げる肘部分、膝部分や摩擦によって擦れる部分などが日々変化していくことを楽しむことができる。それがデニムの最大の特徴であり、メリットであります。
デニムは ” 自分のデニムに育てる ” 事を意識して自分好みに洗い込み、履き慣らしていくことができる素材です。

藍染

 

幅広い用途に使える

デニム生地といえば、ジーンズやジャケットに。と思う方が多いですが、それだけではなく、非常に幅広い用途に利用可能なのもデニム生地の特徴です。
お伝えしたように、デニムは数オンス~20前後オンス程度まで存在しており、厚みも様々なものが存在します。(更に大きいオンスがあるりますが、実用化されていません)

3.5オンス~8オンス
シャツ、スカート、ワンピース、チュニック、薄手のパンツ、カーテン

9オンス~10オンス
スカート、パンツ、ジェケット、ライトコート、ソファカバー、バッグ、カーテン

11オンス~14オンス
パンツ、ジャケット、コート、バッグ、ソファカバー、重めのカーテン

15オンス~20オンス
パンツ、ジャケット、コート、バッグ

上記はご参考に代表作を挙げさせていただきましたが、使い方によっては何にでも利用できると考えられるでしょう。

 

なぜ、様々なものに使用されるのか

なぜ、デニムは広い用途に使用されるのでしょうか。
一概には言えませんが、一つの理由は、「デニムの特徴」でも取り上げた「丈夫」なことが要因だと考えられます。
丈夫な生地は帆布同様で扱いやすく、洋服だけでなく、雑貨にも使用しやすい傾向があります。
他にもインディゴ染め特有の、色落ちを好む方がデニムの生地を求められることが多いです。
私達のオンラインショップで、お客様がよく言われる用途は、シャツ、ワンピ、パンツ、ジャケット、ソファカバー、バッグなどです。
デニムの特性を生かし、ユーズドライクな作品を目指して愛着を持って利用できるのも魅力の一つとして考えられるでしょう。

 

デニム生地を扱う注意点

では、いい事だらけのデニム生地ですが、デメリットや注意点はないのでしょうか。

色落ちに気をつける

メリットして挙げた色落ちがデメリットにもなりますので注意が必要です。
デニム生地を水通しする時や制作アイテムを洗濯する際は、必ず単独で行いましょう。
色落ちがしやすいインディゴ染料を使っていますので、水通しや洗濯時には必ず染料が色落ちします。
また、水通しの際に色落ちがなくなるまで水で濯ごうとするのは避けましょう。
ある程度、色と表面についている糊を落として繊維を縮ませるとOKです。

色移りに気をつける

デニム生地は色落ちと同様で、色移りにも気をつける必要があります。
上記でお伝えした他のものと一緒に水通し、洗濯をしないことはもちろんのことですが、摩擦による色移りも生じてしまいますので注意しましょう。

  • 雨の日に作ったデニムバッグと履いている白いパンツが擦れてしまい、パンツにインディゴ染料が色移りしてしまう
  • ソファカバーにデニム生地を使用し、座っているうちに摩擦でパンツなどに色移りしてしまう

このような色移りが起こる恐れがあります。
過剰に心配する必要はありませんが、トラブルの一つとして意識しておきましょう。

保管時の紫外線に気をつける

インディゴ染料は通常の染料と比べ、紫外線の影響を受けやすい印象があります。
デニム生地を保管する際や、制作アイテムを長時間保管する際は外からの太陽の光や部屋の蛍光灯の光に十分に注意しましょう。
時間を置いて、久しぶりに手に取ると光(紫外線)があたっていた部分だけ白く変色していることがあります。
そのようなことを避けるためにも「洋服棚の中に入れる」「外袋に入れる」などの対策をしてトラブルを防ぎましょう。

 

まとめ:やっぱりデニム生地は魅力がいっぱい!

デメリットを見てしまい、デニム生地を恐れてしまう方もいるかも知れませんが取り扱いの注意を意識して使用すると全く心配ありません。
デニム生地は丈夫で何にでも相性のいい素材なので、気軽にリラックスして扱ってください。
色落ちを心配することもあるかと思いますが、デニムの一番の魅力の一つです。
日々のお洗濯で少しづつ色が変化していくのを存分に楽しんでください!
よく曲げる部分、擦れる部分など部分的に変化していくのも非常に愛らしい素材です。

当店のオンラインストアでは数多くの児島デニムを揃えています。

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薄手のデニム生地~厚手のデニム生地までありますので用途にあった生地を使用して楽しみましょう。
わからないことがあったらお気軽にご相談ください。

 

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