ウールについて│ウールの特徴と扱い方とポイント
ウールは天然素材の一つで秋冬に定番の素材としてよく知られています。
ウールセーターやウールコートなど、様々なものを生み出せる高級素材と言えます。
まずはウールについて、基本的な部分から特徴や注意点まで一つずつ確認していきましょう。
ウールとは
ウールとは羊の毛(羊毛)を原料として作られる繊維です。
天然素材の一つですが、細かく分けると動物繊維の中に分類されます。(リネンやコットンは植物から糸が出来ていますので植物繊維の中に分類)
世界的に羊の種類は3,000種類以上いるとされていますが、洋服に最適で多く用いられる種類は、メリノ種という羊の羊毛です。
どんな羊の毛を使用した場合でも、素材が羊毛だった場合はそのものは「ウール」素材と言えます。
ウールは他に「毛」と表示することがあります。
メリノウールはオーストラリア、ニュージーランド、フランスで飼育されていて、世界中で非常に高品質なウールと評価されているため、多くのブランドでも使用されている羊毛です。
他にも、私達のオンラインストアでも販売している、厳しく、非常に寒い自然環境の中で育つ、スコットランドのシェットランド諸島に生息する、シェットランドシープからとれたシェットランドウールも非常に評価されている羊毛です。
体が小さく、生息数も少ない希少な羊ですが、過酷な環境で育つ為に羊たちは、自分たちの羊毛を保温性、弾力性、耐久性など寒さを乗り越えるために高める必要があるのです。
シェットランドウールの生地を見る
このように、3,000種類以上もいる羊の種類ですが、育った環境などで特徴が大きく異なってくることがわかります。
最適で暖かな洋服に合う素材を見つけるヒントです。
獣毛は数多く存在する
洋服でよく使用される、カシミヤ、アルパカ、アンゴラ、キャメルは触り心地はウールのように柔らかく、風合いが似ていますが、これらも獣毛ではありますが、日本における家庭品質表示法でウールではありません。
※上記の素材を含めた動物繊維全般は「毛」と呼びます。
触り心地が羊毛の素材のような風合いであっても、それがウールとは限らないということです。
動物繊維 |
毛 |
羊毛 |
毛 |
羊毛 |
ウール |
WOOL |
モヘヤ |
毛 |
モヘヤ |
アルパカ |
毛 |
アルパカ |
らくだ |
毛 |
らくだ |
キャメル |
カシミヤ |
毛 |
カシミヤ |
アンゴラ |
毛 |
アンゴラ |
その他のもの |
毛 |
「毛」の用語にその繊維の名称を示す用語又は商標を括弧を付して付記したもの(ただし、括弧内に用いることのできる繊維の名称を示す用語又は商標は一種類に限る。) |
消費者庁サイト参考
ウールの特徴
冬は暖かく、夏は涼しいと言われるウールの特徴について。
ウールは、動物の毛から取られた100%天然繊維で、人によって作り出される合成繊維ではありません。
天然繊維だからこその特徴がある、大地からのありがたい贈り物です。

特徴1 シワになりにくい
ウール生地は弾力性と反発性がある生地で、シワになりにくい特徴があります。
シワになりにくいので、フォーマルな洋服やスーツ素材に使われたりと様々な用途に使用することが可能です。
万が一、気になるシワが発生したしまった場合は、スチームアイロンなどのスチームで湿気を含ませて手でシワを伸ばしましょう。
特徴2 優れた吸放湿性
ウールは非常に優れた吸湿性があり、更にそれを放湿する力を持っています。
コットンの約2倍程度の吸湿性と放湿性がありますので着用している肌が蒸れることのない絶妙な呼吸を生地自体が行ってくれます。
特徴3 汚れがつきにくい
ウール生地の特徴として汚れが付着しにくい特徴があります。
これは、ウールの繊維の周りにエピキューティクルという薄い膜で纏われ、その成分が水を弾く性能を兼ね備えています。(人間の髪の毛のキューティクルと同様)
また、繊維自体の水分保有率が高いので静電気も起こしにくく、チリやホコリを寄せ付けにくく、汚れが付着しにくい生地となっているわけです。
特徴4 抗菌と消臭機能
汗をかいたところも、ウールの抗菌性能が働き、臭いが発生しにくい特徴があります。
ウールの羊毛は、外部からのウィルスや菌を免疫性能により制御する力を持っており、悪臭や菌が発生する臭いを分解し、消臭してくれます。
ウールのメリット
「ウールの特徴」でお伝えした4つの特徴も十分メリットの一部ですが、ウールのメリットは下記の事があげられます。
なんと言っても一番は抜群の保温性
ウール繊維の中には、非常に多くの空気が含まれているため、非常に暖かな着心地を体感することが出来ます。
ウール繊維には縮れがあり、それはクリンプと呼ばれ、その中にたくさんの空気を含むことが暖かさの秘密となります。
夏でも涼しい
「ウール=秋冬」 のイメージが強くありますが、実はウールは夏でも快適に着用できる素材なのです。
特徴2 の「優れた吸放湿性」に記載したように、ウールは非常に優れた吸湿性と放湿性があります。
空気中の湿気を吸収して発散する時に、同時に熱も一緒に逃がす作用を働かせます。
そのようなことからウールは夏でも着れるとされています。
地球に優しく、とってもエコ
ウールは天然繊維で非常にエコな素材です。
リサイクルウールなど、再度衣類などに再利用することができるほか、ウールはケラチンという天然タンパク質で出来ているため、土に埋めるとバクテリアの増加に伴い3~4ヶ月程度で土に還るのです。
天然繊維ならではのエコで地球に優しいところからも注目が寄せられるウール素材です。
ウールのデメリット
いい事だらけのウール素材ですが、デメリットもありますので注意も必要になってきます。
このデメリットでウールに対して苦手意識を持ってしまう方もおられますが、扱い方法を注意していけば安心して利用できるので確認してみましょう。
水洗いで生じる生地へのダメージと縮み
よく知られているウールのデメリットの一つは、ご家庭での洗濯が難しいこと。
ウールは誤った方法で洗濯を行うと、生地に影響が生じることがりあります。
洗濯の際には生地の試験データを参考におすることをおすすめいたします。
もしくは、洋服を制作する前の段階で、どれほど水で縮むかをハギレを使って事前に確認するのが良いでしょう。
風合いを長くキープしたい場合は、ご家庭でのお洗濯はせずにドライクリーニングを行っていただくことをおすすめします。
毛玉(ピリング)ができやすい
ウールは毛玉(ピリング)ができやすい素材です。
毛玉は、洋服の繰り返しの着用や洗濯などで繊維が擦れ合う摩擦などにより発生してしまいます。
ウール自体が毛玉の発生しやすい素材となりますので、毛玉ができにくいようにするにはやはり、ドライクリーニングが一番の予防策です。
保管中に虫に食べられやすい
これもまた困ったデメリットの一つです。
ウールは天然繊維なので虫が好んで繊維を食べる恐れがあります。
しかし、予防策もありますので気をつけて事前に防ごう。
付着した汚れなどはしっかりと落とす
天然繊維のウールについた汚れは虫にとっては大好物です。
汚れが付着したまましまってしまうと、虫の格好の獲物となってしまいますのでしっかりと汚れを落としてからしまうようにしましょう。
アイロンがけをすることで更に害虫対策となります。
改めてウールについて
ウールは服作りやファッションのことに携わっていると、必ずと言っていいほど巡り合う素材の一つです。
天然素材の中にはリネン、コットン、ウール、シルクなどがあり、これらは各素材で特徴が異なります。
ウールはその中でも秋冬に多く取り扱われる素材で、柔らかく暖かいので、生地の混率に少しブレンドするだけで暖かさが増す特性があります。
当社でも、天然素材をメインで扱っており、オススメする素材の中にもちろんウール素材も含んでいます。
APUHOUSE FABRICのウールカテゴリを見る
人の体に相性がよく、環境に優しいウール生地を使ってどんどんと洋服制作を楽しんでみましょう。
まとめ
ウールは羊毛で出来た動物繊維で、天然素材の一つということがわかりました。
天然素材のウール生地は、合成繊維では味わうことの出来ない、「繊維が生きているような」特徴を持った素材です。
ウールは保温性、吸湿性に優れ、シワになりにくく汚れにくい、更に抗菌、消臭の効果も繊維自体が持っている驚きの高機能繊維です。
注意点としては洗濯での縮みや毛玉になりやすいことなどが挙げられました。
数多くの繊維の種類がある中でも特にウール、リネン、コットンはよく使われる素材で、これらはそれだけの魅力がある素材だと言えます。
私達 人はこれらの天然素材と同様で自然に誕生したのであり、肌に馴染むのは天然の素材だと考えられます。
どんなときにでも、優しく、暖かく包み込んでくれるウール生地についてのお話しでした。
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