平織の生地の裏表について│悩みをこれで解消

  • 2022年7月4日
  • 2023年4月4日
平織りの生地

平織の生地の裏表について│悩みをこれで解消

生地を購入して、取り出して確認した時や水通しをした後に生地の裏表について悩むことがありますね。
今回は平織の生地の裏表について考えていきたいと思います。
本記事は、みなさまのお悩みを少しでも軽減できればと思い、書いてみました。
軽い気持ちで楽しくソーイングしましょう。

 

平織とは

平織とは、糸(繊維)を使った織物生地布帛生地)の中での組織の呼び名のこと。
ニット生地に関しては編み組織となり、「織」の単語を使用しませんので除外されます。
以下、布帛(織物)のことを生地と呼びます。

生地は、経糸(タテ糸)と緯糸(ヨコ糸)で形成されており、その織り方で「~織」というように組織名称が異なってきます。
平織は、経糸と緯糸を交互に浮き沈みさせて配置し、織物組織の中の基本的な織り方で、三原組織の一つであります。
平織、綾織、繻子織り(朱子織り)の3つの組織が三原組織とされています。
平織は摩擦に強く、左右対称的で織物の中で一番ベーシックな組織として多く使用されます。
仕上がりの表情もフラットな出来で、どんな用途にもある織り方だと言えるでしょう。

 

平織はどの様な素材で織ることができるか

平織は織組織の名称で、コットン、リネン、ウール、シルク、レーヨン、キュプラ、ポリエステル、ナイロン、アクリル…….etc
全ての素材が対象で織ることができる。
代表的な織り物でいえば、ブロードローンボイル帆布などが知名度の高いものと言えます。
通気性がよく、蒸し暑い季節のシャツやパンツなどにも相性のいい組織です。
同じ糸番手を使用した際にも、綾織やヘリンボン織などに比べてやや厚みがなく、組織上 通気性に優れた仕上がりになります。

 

生地の裏表の見分け方

本題の生地の裏表についてです。
まず、生地には100%の確率で裏表が決まって製造されていますので、生地を提供する側は、それをご購入者様に伝えることが必要になってきます。
私達のオンラインストアでは、インディゴ染めのデニム生地以外の全ての生地を対象に外表に畳んでお届けすることを統一しています。(デニムは色移り防止のために中表)
それを統一することにより、お客様にとって判断しやすく、お客様の制作効率の向上に繋がるからです。
平織の生地の裏表の判断方法については下記のとおりです。

結論:裏表を見分ける判断方法は存在しない

生地の耳側に、生地製造過程でセットを行う際につく穴(凹凸)があり、その穴が凸になっている方が「表」という判断方法がありますが、これだけで判断するのは難しい場合があります。
確率的には90%程度の確率で凸側が表と判断できますが、100%表面というわけではありません。

生地の耳の凹凸

再セットで裏面が「凸」になってしまう場合や、一部の工場などは表面が「凹」になっている場合があるのです。
その様な場合は、生反の際に表記している「表」を頼りにアナウンスしていく方法となりますのでショップ側の指示に従って制作を行ってください。

 

平織で裏表は気にする必要はない

平織の裏表についての考えですが、平織では表面、裏面で全く同じ表情を持つ織組織です。
そのため、平織の場合に限り、裏表に対して過剰に気にする必要はありません。
私達、生地を扱うプロでさえハギレを渡された場合は、裏表の判断ができないのが現実です。
わからなくなった場合は、軽い気持ちで綺麗に見える面を表面として使用しましょう。

 

なぜ平織にも表面の表記があるのか

裏表を気にしなくても良い平織にも裏表は存在しますが、それは一体なぜなのでしょうか。
どちらの面を使っても問題ないのならば、わざわざ裏と表を決めなくては良いのではないのかと考えてしまいます。

白地の生地

 

表面を検反しているから

生地は、シャトル機で織り上げた後、織り傷や破れ、汚れなどがないかの検反を行います。
それは、生地の裏に光を当てて、人の目で難を発見しやすくして行いますが、基本的に検反は生地の表面のみが対象となります。
表面は綺麗に仕上がっており、裏面のみに織り傷や汚れなどが合った場合もA反として判断されます。
生地を使い、製品を作るのに対して表側に顔を出す面のみが対象で、裏面は製品化することにより見えなくなるために対象外とされる事がほとんどなのです。

 

気をつけるべきポイント

この記事では、平織は裏表を気にしなくても良いことを伝えさせていただきましたが気をつけるポイントがいくつかありますので紹介していきます。
ハンドメイドをする基本的なことでもありますので、ご存じの方はご容赦ください。

生地を購入後、水通し前に織り傷や汚れなどがないかを裏と表の両方確認する

これは基本中の基本のまずは生地確認。
まずは、生地の裏表を全部確認しましょう。
傷や汚れを確認して、万が一なにか見つかった場合はそれが表面にあるのか裏面にあるのかを確認してみてください。

裏面に傷や汚れがあった場合、表面にまで影響しているかの確認を行いましょう。
表面に影響がない場合は、必ず表面のみを使用して製作するようにしてください。

表面に傷や汚れがあった場合、裏面にまで影響しているかの確認を行いましょう。
裏面に影響がなく、ご自身の判断でこのまま制作しても気にならない場合は、裏面のみを使用して制作しましょう。
傷や汚れが気になる場合は、表面に難があったことを購入したショップに伝えましょう。

その難の写真があればスムーズに対応してくれるはずです。

一つの作品に裏面と表面を混ぜて使用しない

裏表が遺書の表情をしている平織だからといって、裏表を混ぜて使用するのは避けましょう。
必ず綺麗な面を統一して使用するように心がけてください。
光沢感が少し違うことなどが稀にございますので注意が必要となってきます。

 

まとめ:平織の生地は裏表を気楽に考えよう

平織には裏表が存在するが、表情に特に変わりがないことがわかりました。
製作時にうっかりとどっちが表面かわからなくなった場合も、焦らずに対応しましょう。
もしわからなくなった場合は、A面、B面の両方の全体を傷、汚れがないかしっかりと確認して綺麗だと感じるお好みの面を決めよう。
自分が決めた表面を制作する作品に対して統一して使用することで、裏表がわからなくなった問題は解決されます。
焦らず、楽しく、ゆったりとハンドメイドライフをお楽しみください。

※本記事は、平織に対しての生地となりますので、綾織など他組織の生地は同じ様に制作をしないよう、ご注意ください。

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